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相続税の基礎控除はいくら?計算式とよくある誤解を税理士が解説

ポートフォリオ

「親が亡くなったけど、相続税ってかかるのかな…」
「遺産が結構あるから申告が必要だと思うけど、いくら以上が対象?」
「税務署から連絡が来たらどうしよう…」

相続は突然やってくるイベント。何をしたらいいのか分からず、不安になるものです。

特に「相続税がかかるのかどうか」を判断する第一歩が「基礎控除」という仕組みです。でも、この基礎控除について「いくらなのか」「どう計算するのか」を正確に理解していない人は意外と多いです。そのせいで、申告すべきなのに申告しなかったり、余計に税金を払ったり、後で税務署から指摘されたりするケースもあります。

この記事では、税理士の視点から「相続税の基礎控除とは何か」を、できるだけシンプルに解説します。最後まで読めば「うちの場合は申告が必要なのかどうか」が判断できるようになります。

基礎控除ってよく聞くけど、結局いくらなの?

しごにゃん
しごにゃん

いい質問だにゃ。基礎控除は「ここまでは相続税がかかりませんよ」という金額のことなんだ。では詳しく見ていくにゃ。

  1. 1. 相続税の基礎控除とは|まず押さえるべき基本の仕組み
    1. 基礎控除額の計算式
    2. 基礎控除の位置づけ(課税価格が控除を超えた場合のみ申告必要)
    3. 「課税遺産総額」との違い
    4. 相続税申告が必要になる典型例
  2. 2. 基礎控除の計算例|ケース別にわかりやすく解説
    1. 法定相続人2人の場合
    2. 法定相続人3人の場合
    3. 合計額が控除を少し超えるケースは「土地評価」が重要
    4. 遺産分割の有無による注意点
  3. 3. よくある誤解|申告漏れ・追徴課税につながる落とし穴
    1. 誤解①:「生命保険は非課税だから全部計算しなくていい」
    2. 誤解②:「不動産は路線価で自動的に安くなる」
    3. 誤解③:「名義変更が終わったから申告しなくていい」
    4. 誤解④:「家族名義の預金は申告不要」
    5. 誤解⑤:「借金があるから申告不要」
  4. 4. 申告でトラブルになりやすいポイント|税務署が見る「具体的な視点」
    1. ①土地評価(路線価・倍率表・地積誤差)
    2. ②生前贈与の加算(3年以内贈与の扱い)
    3. ③名義預金の判断ポイント
    4. ④家族内での現金移動の痕跡
    5. ⑤法定相続情報一覧図の整合性
  5. 5. 基礎控除を前提に「申告が必要かどうか」判断する流れ
    1. ステップ1:財産の棚卸し
    2. ステップ2:相続人の確定
    3. ステップ3:基礎控除額の計算
    4. ステップ4:財産評価額の概算
    5. ステップ5:基礎控除と遺産総額の比較
    6. ステップ6:念のため、もう一度チェック
  6. 6. まとめ:基礎控除だけで判断すると危険。早めの専門家相談が安全
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1. 相続税の基礎控除とは|まず押さえるべき基本の仕組み

相続税は「被相続人が亡くなったとき、遺された家族が遺産を受け取る際にかかる税金」です。でも、すべての遺産に税金がかかるわけではありません。ここが大事なポイント。

国は「一定額までの遺産は、生活に必要な財産だから非課税にしよう」と決めました。その「一定額」が「基礎控除」なんです。

基礎控除額の計算式

基礎控除は、非常にシンプルな計算式で求めます。

基礎控除額の計算式

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

つまり、配偶者と子ども2人が相続人なら「3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円」が基礎控除額になります。遺産がこの金額以下なら、相続税はかかりません。

基礎控除の位置づけ(課税価格が控除を超えた場合のみ申告必要)

国税庁の相続税の概要によると、基礎控除は「相続税がかかるかどうかの判断基準」です。

遺産の合計から基礎控除を引いた額を「課税遺産総額」と呼びます。この課税遺産総額がゼロ以下なら、基本的には申告は不要です。

「課税遺産総額」との違い

用語が似ているので混乱する人も多いのですが、整理すると以下の通りです。

遺産総額故人が残した全ての財産。預金、不動産、保険など全部
課税価格遺産から借金などの債務を引いたもの。さらに生前贈与も加算
課税遺産総額課税価格から基礎控除を引いた額。ここからが税金の対象

つまり「基礎控除 = スタートライン」ということです。この線を超えてからが初めて税金がかかるんです。

相続税申告が必要になる典型例

では、実際にどんなケースで申告が必要になるのか。税理士の実務的視点から典型例を挙げます。

申告が必要になる典型ケース

・不動産を複数所有している(都市部の土地・建物は評価額が高い)・預貯金が1,000万円を超えている・生命保険の受取額が大きい(500万円×相続人を超える部分は課税)・株式や有価証券を保有している・事業をしていて会社の資産がある

こうしたケースでは、基礎控除を超える可能性が高いため、専門家に相談することが重要です。

2. 基礎控除の計算例|ケース別にわかりやすく解説

では実際に、いくつかの計算例を見ていきましょう。数字で見ると、ぐっと理解しやすくなります。

法定相続人2人の場合

配偶者と子ども1人が相続人の場合を考えます。

計算例:相続人が配偶者+子ども1人

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円

遺産の合計が4,200万円以下なら申告は不要です。

法定相続人3人の場合

配偶者と子ども2人が相続人の場合。

計算例:相続人が配偶者+子ども2人

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円

遺産が4,800万円以下なら申告不要。超えれば申告が必要です。

合計額が控除を少し超えるケースは「土地評価」が重要

ここが実務的に非常に重要なポイントです。遺産が「基礎控除を少し超える」という場合、土地の評価次第で申告が必要か不要かが変わることがあります。

例えば、遺産が4,900万円という微妙な金額だったとします。相続人が3人なら基礎控除は4,800万円ですから、課税遺産総額は100万円。ですが、土地の評価を正確にやり直したら評価が下がり、結果として基礎控除以下になるケースもあります。

国税庁の「財産評価基本通達」によると、土地は路線価で評価しますが、補正をする場合があります。間口が狭い土地、奥行が長い土地、形が悪い土地などは減額されることもあるんです。

遺産分割の有無による注意点

遺産分割が済んでいるかどうかも重要です。遺産分割協議書が整っていれば、各相続人の相続分が明確になり、申告も進めやすいです。

一方、遺産分割がまだの場合は「全体の遺産から基礎控除を引く」という暫定計算になり、後で修正が必要になることもあります。

土地の評価って難しいんだ…

しごにゃん
しごにゃん

そこなんだにゃ。だから専門家が入ると大事なんだ。では次、よくある誤解を見ていこうにゃ。

3. よくある誤解|申告漏れ・追徴課税につながる落とし穴

相続税の基礎控除について、よくある誤解を見ると、申告漏れや追徴課税に繋がるケースが多いです。税理士として実務で見かける典型的な誤解を挙げます。

誤解①:「生命保険は非課税だから全部計算しなくていい」

これは大きな誤解です。生命保険には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠がありますが、それを超える部分は課税対象になります。

例えば、相続人が3人で生命保険の受取額が2,000万円なら、非課税枠は1,500万円(500万円 × 3人)。超過分の500万円は相続財産に加算されます。これを見落として申告しないと、税務調査で指摘されます。

誤解②:「不動産は路線価で自動的に安くなる」

土地の評価は路線価を使いますが「自動的に安くなる」わけではありません。国税庁の「財産評価基本通達」には、間口補正や奥行補正といった調整もあります。

自分で計算するとこれらの補正を見落としやすく、結果として過少評価になってしまうケースがあります。

誤解③:「名義変更が終わったから申告しなくていい」

これも大きな誤解。登記簿の名義変更と税務申告は全く別です。

不動産の所有権移転登記は「法務省」の管轄、相続税申告は「税務署」の管轄。名義変更が済んでも、遺産が基礎控除を超えていれば申告義務があります。

誤解④:「家族名義の預金は申告不要」

ここが実務で最も争点になりやすい部分です。預金の名義が子どもになっていても、実質的には被相続人(親)のお金と認定されることがあります。

税務署は「入出金の履歴」「お金の流れ」「家族間での現金移動」を細かく調査します。形式上の名義だけでは認められません。

誤解⑤:「借金があるから申告不要」

借金があれば相続財産から差し引けますが「借金があるから何もしなくていい」というわけではありません。

遺産が基礎控除を超える場合、借金の有無に関わらず申告義務があります。税務署の視点では「借金がある企業ほど調査対象になりやすい」という傾向もあります。

申告漏れ時のペナルティ

・過少申告加算税(10~15%)・無申告加算税(15~20%)・延滞税(申告期限から計算)・最悪の場合:重加算税や刑事罰

4. 申告でトラブルになりやすいポイント|税務署が見る「具体的な視点」

税務署は、相続税申告をする際にどこをチェックするのか。実務的な視点から「トラブルになりやすい5つのポイント」を解説します。

①土地評価(路線価・倍率表・地積誤差)

土地の評価は最も争点になりやすい項目です。路線価や倍率表を使いますが、補正要因(間口狭小、奥行長大、地積規模の大きな宅地など)の適用を間違えやすいです。

②生前贈与の加算(3年以内贈与の扱い)

被相続人が相続開始前3年以内に行った贈与は「相続財産に加算する」というルールがあります。これを見落とすと申告漏れになります。

③名義預金の判断ポイント

税務署は「形式的な名義」ではなく「実質的な所有者」を判断します。特に、家族への贈与だと言いながら実際には親が管理している口座は要注意です。

④家族内での現金移動の痕跡

銀行振込ではなく現金のやり取りがあった場合、その流れを追うことは難しくなります。ですが、税務署は通帳の出入金パターンから推測することもあります。

⑤法定相続情報一覧図の整合性

相続登記の際に「法定相続情報一覧図」を作成します。この情報と申告書の相続人関係に矛盾があると、税務署の疑念を招きやすくなります。

5. 基礎控除を前提に「申告が必要かどうか」判断する流れ

では、実際に「自分たちは申告が必要なのかどうか」を判断するには、どんな流れで進めればいいのでしょうか。税理士が実務で行うプロセスをシンプルに説明します。

ステップ1:財産の棚卸し

預貯金、不動産(土地・建物)、有価証券、生命保険、負債(借金)など、全ての財産を洗い出します。この時点で「漏れ」があると後で大変なことになります。

ステップ2:相続人の確定

戸籍謄本から法定相続人を確定します。配偶者、子ども、孫など、正確に把握することが重要です。養子がいる場合は特に注意が必要です。

ステップ3:基礎控除額の計算

「3,000万円 + 600万円 × 相続人の数」で計算します。

ステップ4:財産評価額の概算

不動産は路線価や倍率表、建物は固定資産税評価額で概算します。ここが正確性を求められる部分です。

ステップ5:基礎控除と遺産総額の比較

遺産総額が基礎控除を超えていれば申告が必要です。超えなければ原則として申告は不要です。

ステップ6:念のため、もう一度チェック

基礎控除を下回っても、以下の点を再確認することが大切です。

見落としやすいポイント

❌ 名義預金がないか
❌ 海外資産がないか
❌ 3年以内の生前贈与がないか
❌ 生命保険の非課税枠を超える部分がないか
❌ 土地の評価は正確か

これらを見落とすと、後で「実は申告が必要だった」ということになり、追徴課税を受けるケースもあります。

6. まとめ:基礎控除だけで判断すると危険。早めの専門家相談が安全

ここまで相続税の基礎控除について詳しく解説してきました。最後に、最も大事なことをお伝えします。

基礎控除は「相続税がかかるかどうかの判断基準」ですが、この基礎控除だけで「申告は不要だ」と判断することは危険です。

基礎控除では判断できない複雑な要素

・土地評価の補正(本当の価値より高く評価していないか)
・生前贈与の加算(3年ルールの見落とし)
・名義預金の判定(実質的な所有者は誰か)
・生命保険の非課税枠の計算誤り

国税庁の相続税のあらましなどの資料を見ると「税務調査の対象になりやすい領域」とも書かれています。実務的には、申告漏れが発覚する確率も比較的高いんです。

そこで、税理士が入ることのメリットは「正確な財産評価」と「適切な控除利用」を通じて、本来支払う必要のない税金を払わずに済む、ということです。同時に、追徴課税のリスクも大幅に下がります。

相続は、人生で何度も経験することではありません。だからこそ「基礎控除で大丈夫」と自己判断せず、早めに専門家に相談することが、最も安全で効率的なやり方なんです。

つまり、基礎控除だけじゃ判断できないんだ。

しごにゃん
しごにゃん

そう。だからこそ、専門家に頼るのが一番安心だにゃ。相続は人生に一度きりだから、後悔しないようにするにゃ。


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【参考情報・一次資料】

本記事は以下の公的データおよび一次情報に基づいて作成しています:国税庁「相続税の申告のしかた」、国税庁「相続税のあらまし」、国税庁「タックスアンサー(相続税関連)」、国税庁「財産評価基本通達」、相続税法(国法)、相続税法施行令、相続税法施行規則、法務省「相続登記義務化関連資料」

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